圧縮言語について

圧縮言語というものについて考えています。
いや、こういう言葉が実際にあるのかどうかは知りませんが。
要するに、本来相手に伝えたい言葉をそれよりも少ない語数で伝達する技術についてです。


こういう小噺があります。

ある時、とある若い囚人が古い監獄に収監されることになりました。その監獄に彼が入った瞬間、囚人の一人が、
「33」と大きな声で言います。
すると、囚人たちは大爆笑しました。
訳のわからない若い囚人は、近くにいた年嵩の囚人に尋ねます。
「一体全体、貴方方は何が楽しくて笑っているんですか?」
すると、老囚人はしたり顔で応えます。
「ここの連中はジョークが好きでね。いつもジョークを言い合っていたんだが、どうにも同じネタを毎回言うのが面倒になってね。数字で置き換えることにしたんだ。お前さんも何か言ってみな」
なるほどと得心した囚人は、大きな声で叫びます。
「95!」
すると、監獄全体が揺れるほどの大爆笑。
囚人は嬉しくなって老囚人に聞きました。
「95ってのは、そんなに面白いジョークなのかい?」
老人は腹を抱えて笑いながら応えました。
「95っていうのは、新ネタなんだ」



なぜ圧縮言語について考えているかというと、ファンタジーの世界観を作る上で、魔法の詠唱をどうするかを考えていたからです。例えば、何か超常的な存在と交渉することで魔法という現象を引き起こさせるとしたならば、どういった種類の相手に、どのような種類の、どういった規模の現象を起させるかを伝えなければならないでしょう(或いは相手の気まぐれに任せるのかもしれませんが)。
そう考えた時に、先人が予め契約しておいた圧縮言語によって適当なキーワードを詠唱することで、一定の現象を発生させることにしておけば、魔法を社会の中で教育し、恒常的に使用することが容易になるのではないかなぁ、と。


まぁ、現実の歴史では実際に魔法が存在しないので、世界観構築の上で魔法の扱いをどうするかは非常に微妙です。
現実社会にも存在するまじない医のような社会的立場を賦与するのか、あるいは、「よくある」ファンタジーのように特別な立場を新たに作り出すのか。中々難しい所です。