反日デモについて

[国際]反日デモについて
  リハビリにしては重い問題ですが、今の私の関心の中心にある問題ですので。
 門外漢の考えなどチラシの裏にでも書いて置けばいいのですが、備忘録とでも
 思って読み流して頂けると幸いです。

  • 相互の理解不足

  根本的な原因としては「相互に対する理解の不足」を挙げる事が出来るでしょう。
 中国人留学生の知り合いに聞いたところ、ほとんどの中国人は日本の「教科書検定制」
 について理解していません。(検定制の是非については専門家にお任せします)
  逆に日本人も、中国人がどこに問題の焦点を置いているか理解していないところが
 あるようです。
 例えば、中国東北部に遺棄されたままの旧日本軍の化学兵器については、かなりの
 反感があるようです。中国政府はその点をもう少し強く打ち出し、要求を明確にすべ
 きではないでしょうか。
  この点については、両国で共同の教科書を作る為の作業部会を作るだけでも、争点
 がはっきりするように思います。漸進であっても、進むべきです。

  靖国参拝、などの行為が中国の人々の神経を逆撫でしている、というのは間違い
 ありません。如何に「兵士の霊を祀る場所に敬意を払うことは美徳である」とは言え、
 それはあくまでも西洋的な考え方です。死者は全て成仏するという考え方の浸透した
 日本は除くとしても、アジア各国では生前の行いの悪い人を祀るということはあまり
 しないようですし、日本政府首脳はその辺りに関する配慮が必要でしょう。
  合同慰霊碑についても以前から話が出ていますし、これを機に検討すべきだと愚考
 します。

  • 中国の愛国教育

  あれだけ広大な国家がこれまで幾度か統一されてきた、ということの方が私にとっ
 ては不可思議なのですが、その苦労は現在に到っても変わらないと思います。人種の
 坩堝であるアメリカ合衆国が、合衆国を正義であるとして国民を纏めているように、
 中国も教育によって国家に対する忠誠心と埋め込まねばならないのでしょう。その点
 については理解できるのですが、最も安易な方法として『反日』を刷り込むことは、
 近代国家として問題があるように思われます。共産党が中国を統治する正当性が、
 「日本を追い出し、敗戦に追い込んだから」という理由である以上、「反日」が
 国家のDNAに刷り込まれていることは理解できますが、そろそろ方針を転換すべき
 ではないでしょうか。

  中国が日本を最終的に国連常任理事国入りさせるつもりかどうかについては、私は
 判断しかねます。プライドや生の感情に基づけば入れるべきではないのですが、国益
 を考えれば、日本以外の常任理事国が増えるのはアメリカの力を殺ぐ上で得策だから
 です。高く売りつけてやる、くらいが妥当なラインかもしれません。
  面と向かって日本を批判したり、非主流派を焚きつけるのも効果的ですが、アジア
 の国々から嫌われていると言う印象を国際社会に与えることもまた、重要です。国連
 常任理事国入りするということは、周辺国の利益代表と調整役というニュアンスも含
 まれるからです。そういう意味で、政府ではなく民衆の自発的なデモは道具としては
 最良でしょう。(程度の問題はありますが)

  • 日本政府の対応の拙さ

  これまでの日本政府の対応は、素人目にも巧く行っているようには思えません。毅
 然としているわけでもなければ、友好ムードを増しているわけでもないからです。
 日本の外交が権謀術策を弄するなどということは人種的に無理なのかもしれませんが、
 それにしても対応が幼稚です。相手の言い分を適当に聞きながら、最大限の利益を引き
 出すという努力が欠けているように思います。
  私は、日本に外交の訓練校を置くべきだと思います。どうせ権謀術策が期待できな
 いのなら、せめて基本と慣例くらいは完全にマスターして欲しいものです。

  • 最後に

  日本の最大の拙さは、「状況に対応」することに追われていることです。日本の力
 ならば「状況を作り出す」ことは可能であり、それをすべきなのです。このまま座し
 ていれば、早晩アドバンテージは奪われるでしょう。自衛隊が今の兵力で何とかなっ
 ているのは国際社会に対する他の面でのアドバンテージがあるからだということを忘
 れるべきではありません。威信が低下すれば、軍事力を増強させねば没落する一方に
 なるのです。
  国益国益と念仏を唱えるのは右向きのようで嫌なのですが、平和を守りたいという
 のなら、まず国民にパンが行き渡ることが必須であることを、肝に銘じねばなりませ
 ん。