国籍不明潜水艦の行動に関して

 ほぼ中国の漢級原子力潜水艦ということで間違いないらしいです。
 原子力潜水艦というのはその構造上、大きな音を立てるシロモノで、
 隠密行動を大前提とする潜水艦運用においては扱いの難しいもので
 あります。
 特に今回の漢級は老朽艦で音も大きく、すぐに発見されることは
 自明の理だということ。
 では何故日本の領海を無断で航行するなどしたのか?
 ちょっと妄想してみます。

自国の海防計画の為

 中華人民共和国の海防思想においては、日本を含む「第一列島線」は
 その主たる防衛ラインであり、「敵艦」は可能な限りこのラインで
 殲滅するというのが基本思想となっているようです。
 現在の人民海軍は原子力潜水艦を除けばその戦力は近代化されていない
 といって過言ではありません。(数年以内に空母を配備するとのこと)
 その原子力潜水艦を効果的に運用する為には航路の策定は急務です。
 潜水艦は海の中を自在に航行するイメージがありますが、大陸棚上に
 ある日本近海などでは、航行できるルートは極めて限定されています。
 古来より戦術を優位に進めるには少なくとも「敵」と同等の地理的知識が
 要求されます。日本に基地を置く某国などは完全な海底地図を有している
 わけで、中国が海底地図の製作を急ぐのは何も不思議なことではありません。

日本と台湾に対する威圧の為

 これはしばしばテレビのニュースなどで取り上げられていましたが、私は
 どうにも腑に落ちません。
 威圧をするというのであれば発見されることが前提になるわけですが、発見
 されるということは潜水艦にとっては原則的に死を意味します。
 特に、領海内での不審潜水艦に対しては撃沈も国際法上は認められています。
 「日本なら攻撃してこないだろう」という楽観的かつ現実的な判断で今回の
 判断がなされたとも考えられますが、どうなのかは判断がつきかねます。
 (今回海上警備行動が発令されたのは、台湾からの通報があったからという
  説もあります)