塊魂



塊魂』というゲームがある。
恐るべきポテンシャルを秘めたゲームだ。
身長僅かに5cmの「王子」が塊を転がして物を巻き込み、塊を大きくする。
ただそれだけのゲームなのに、ハマる。
空恐ろしい程に、ハマる。


私は一昨日このゲームを買ってからというもの、寝ても醒めても塊魂である。
時間があれば、転がす。
時間が無くても、転がす。
夢の中でも、転がす。
ついでに大学では後輩達にまで転がさせる始末。
何というか、もう塊を中心に私の生活が転がされている感がある。




ゲームの造りはとてもシンプルだし、凝った設定があるわけでもない。
デザインと音楽は秀逸だが、莫大な予算が投じられている風でもない。
ただ、愉快な「王様」の尻拭いの為に「王子」が塊を転がすだけである。
そこが、溜まらなく良い。


思うに、今のゲームは「凝り過ぎている」のだろう。
ゲームの創り方には2種類あって、料理に喩えるなら、
「とにかく豪華な食材を使い、駄目な要素が見えないように味を調える」のと、
「素材本来を活かしてそのままお客さんにお出しする」という
ものになると思う。
今のゲームは、大半が前者である。
SONYがPSシリーズでの開発に制限をかけているからだとも聞くが、要するにユーザーがただ大作を追い求めた結果なのだろう。DQやFFを有り難がる風潮が、今の状況を導いたといって良い。


しかし、その潮流に変化の兆候が現われ始めている。
例えば塊魂であり、例えばN−DSである。
N−DSで発売されるソフトの多くは、莫大な予算を投じられた重厚長大なゲームではなく、むしろ軽少短薄なものが多い。しかし、それでいて、ゲームとしては魅せる作品が多いのも特徴である。
これはまるで、京料理のようにゲーム本来の旨味のみで勝負するかのような清々しさがある。(そういえば、任天堂は京都の企業だ)
長い間、SONY主導の高カロリーなゲーム漬けになっていた身には、こういった優しい味付けのゲームが嬉しく感じるのだろうか。






塊魂 PlayStation 2 the Best